河合 隆三の部屋

教え子・佐野由美さん( 23才で永眠)のスケッチブックより

           河合先生の授業をとってよかった。他のしょうもない先生の話より、

     技術のことよりよっぽどおもしろい。河合先生の目は子供の目みたいだ。

     すごく澄んでいてきらきらしている。先生は、土木のおっちゃんみたいで、

     ワルガキみたいで、ぼろぎれみたいでほんものの作家だ。

     ちっちゃい物つくりでない。芸術じゃなくて『生』を知っている。

     土と空の間で身ひとつで生きる。動物として『生』としての自分の存在を
    
     凄くわかっている。「生」なる存在としてこの星のこの時に生きている 

     生かされている。

     そのことをよく知っている だから彼は何も持っていない。

     ほんとに手ぶらで何も持っていなくて生きている。

     だから美しいこじきみたい。ほんとにこじきみたいなみてくれで

     でももしあの人の価値がわからなかったらその人間はくさっていると思う。

     かりの美しさやにせものの美しさ、こぎれいさや欲や虚栄心や見栄がなくて

     純粋できらきらしている。

     石を彫っているうちに  自分がきらきらしている原石になっていったん
 
     じゃないだろうか。そして石のようにこの星の自然の営みとともに

     色や形を変えるがごとく、全身を自然の動きに委ねる でもかたい、

    

     そんな存在に。
 
     絵は自分に似るというけどものを作る人は

     素材に似るのではないだろうか。
    
                         (1996.6.6  大学三回生)

河合隆三 略歴

重い帽子
重い帽子

1935 大阪生まれ
1962 東京芸術大学彫刻科卒
1965 ユーゴスラビア政府による国際彫刻家シンポジウムに招待制作
1966 国際連合文化機構によるイタリア留学

受 賞
1987 兵庫県彫刻コンペティション 最優秀賞
1988 中之島緑道彫刻コンペ受賞
1989 六甲アイランドコンペ「海からのメッセージ」大賞

 

 

作品歴
以下の社屋や庭、公園などに作品が置かれています。
きっとあなたの町のどこかでも見かけたことがあるはず。

大日本製薬研究所前庭  東京朝日放送社屋ホール ダイエー 西武 マイカル 

三輪そーめん  神戸商業大学 大阪城公園 ツインタワー 名張市新支庁舎前庭 

河内長野市新支庁舎前庭 住吉区役所
毎日放送茶屋町新社屋 徳島県警本部前 六甲アイランド アクア堂島 新梅田シティ 

住宅整備公団   生駒市山麓公園 天神橋筋商店街 など多数

 

ナンシー・ドーム 2009年の日本人アーティストに河合先生

 

 

 

 

 

ティファニー、エミールガレ、ラリックなどと同じく ガラス工芸で世界的に知られている ナンシー・ドーム。 世界のさまざまなアーティストとのコラボレーションを発表していますが、2009年 河合先生が日本のアーティストとして選ばれました。

 

くわしくはドームのサイトをご覧ください。